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婦人科一般

ピルに優しいクリニック女性の人生を考えるクスリ
〜ピルでよりよい日々を〜

新中野女性クリニック院長 海老原肇
※地域医療情報専門誌Medical Pivotに寄稿した記事です。

いまの地球は、科学・通信機器の発達により情報化が進み、世界の動きをいち早く知ることができるようになっています。私のような産婦人科の医師があえて語らなくても、みなさんは毎日の仕事や生活の中で感じていることでしょう。ただ、いくら情報化が進んでも、中にはなぜか大切なことを見落とされていることもあるのです。情報も活用されれば最大の武器となりますが、使わなければすぐに埋もれてしまうようです。
私たちの国の医療の中にも、実は遅れている部分があります。わが国の医療はけっして、世界的に遅れているわけでありません。むしろかなり先進的だと思いますが、なぜか立ち遅れている部分があります。それは経口避妊薬の存在です。いわゆるピルのことで、低用量ピルとも呼ばれています。この薬が、わが国では、有効に活用されていないのです。

●完全な避妊のために
望まない妊娠をして、その結果肉体的・精神的にダメージを受けるのは女性の側です。にもかかわらずほとんどの場合、避妊は男性任せの場合が多いと思います。コンドームによる避妊をした場合でも、理想的な使用をした場合で3%の妊娠率があり、一般的な使用の場合は90%程度の避妊率となります。ピルの場合は正しい使用をすれば、ほぼ100%の避妊が可能です。自分の意思で自分自身を守ることができるわけです。

●女性の生活をサポートする薬
わが国では働く女性の数が増えています。より豊かな生活をしたいという収入面もあるのでしょうが、結婚後も出産後も、できるだけ社会に参画していきたいと考える女性が多くなっているためと思います。これは女性が、人生をいかに充実したものにするかを考慮したうえでチャレンジしていることですから、社会的に見ても有意義なもののはずです。
しかし、男性と比して、女性の場合は、つねに肉体的にも精神的にもハンデが付きまといます。女性の人生設計を考えるうえで、出産、それに続く子育ては大変重要なポイントです。望まない妊娠によって、人生設計が狂わないためにも有用です。またピルは、さらに避妊以外のメリットがあることも確認されています。月経は女性にとって妊娠、出産を迎える体の準備ですから、なくてはならないものですが、一方で女性を悩ませる存在にもなります。しかし、ピルを服用することにより月経の周期が一定し、月経痛も緩和され、月経の出血量も少なくなります。また、旅行やイベントで月経を移動したい場合も簡単にコントロールすることが可能になります。さらに卵巣がんや大腸がんの予防にもつながるという報告もあります。副作用も少なく、性感もそこねないのですから、まさに女性の人生設計をサポートする薬といえます。

●ピルだけで大丈夫?

望まない妊娠ももちろんですが、防がなければいけないのは性病の感染です。最近、クラミヂアや淋菌感染が若い方を中心に著しく増加していますし、エイズの感染も増えています。クラミヂアや淋菌感染は不妊症の原因となり、将来妊娠が非常に困難になる場合がありますし、エイズはまだ完全な治療法はありません。
ピルによって妊娠を防ぐことは可能ですが、これら性病を防ぐことはできません。性病から身を守るためにはコンドームをつけなければなりません。ご自分自身を守るためにもピルとコンドームの併用をするべきでしょう。

●安全性は?

ピルというとどうしても副作用が心配と思われている方も多いと思います。確かにピルが開発された当初は含まれるホルモンの量が多かったため、多くの副作用に悩まされる方が多かったようです。しかし、最近のピルのホルモン量はその当時の数分の1に減少しています。
飲みだしたときに吐き気やむくみ不正出血などの副作用を感じる方もいらっしゃいますが、それらの症状も数ヶ月すると減少または消失します。

現在、世界中で約9,000万人の女性が使用しているといわれています。そのうち先進国の北米では630万人、ヨーロッパでは2,400万人で、わが国はまだ10万人程度です。これからの女性にとって何よりも自分で自分自身を守り、月経を自分でコントロールし、よりよい生活をおくるための手段として、ピルの使用が増えていくことが望ましいと思っています。

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